Oryzias*Life

【オリジアスライフ】東京発。週末はアウトドアで思いっきり遊んで、美味いもんを食す。その備忘録。

玉砕、初めての手漕ぎボート釣り

この感覚、なんだろう。
あの時に似ている。
 
 
21歳のクリスマスイブ。
高知、はりまや橋近くにあるバー。
 
彼女がいない男4人で、お酒を賭けたゲームに負けて、
テキーラを、13杯飲むハメになった。
 
それからは余り記憶がないのだが、
知らない人と社交ダンスを踊っていたらしい。
 
そして気づいた時、寒空の下、帯屋町の公園のベンチで横たわっていたという・・・w
 
あの翌朝は、最悪だった。
 
 
いま迎えている状況は、その時の感覚に似ている。
気持ちが悪い上に、頭がガンガンする。
しかも、体がだるい。
 
 
八月最初の日曜日。
場所は、三浦半島・油壺の沖合に浮かぶ、小さな手漕ぎボートの上。
乗っているのは自分1人だ。
 
ボートの上には釣り道具一式。
 
太陽が容赦なく照りつけている。
 
なんでもここの付近一帯は、手漕ぎボートにのって沖に出ると、
ダイが釣れるとのことで、岸から、沖合1キロちょっと漕いできた。
人生初の手漕ぎボート釣りだ。
 
油壺付近は普段波が穏やかな場所だが、少し沖合にでると風も強くなり、波も大きかった。
しかも、水上バイク、クルーザーが通る度に、大波小波がやってきて、
小舟は、まるでちっぽけな葉っぱのように、いいように波に翻弄されている。
上下の動きは1m近くあるんじゃないか。
 
気をつけないとバランスを崩して、小舟ごとひっくり返ってしまう。
 
その時の自分は、きっと恨めしそうな表情で、
スピードを上げて通り過ぎていくボートたちを見ていただろう。
 
ここに来るまで必死に漕いでいる時は、なんら問題なかった。
むしろすごく楽しんでいたくらいだ。
 
けど、釣りの仕掛けを作るために、手元で作業をしていたとき、
あまりの揺れで、ウッとこみ上げてくるものがあった。
懸命に耐えた。
 
こんなにも簡単に船酔いするとは思わなかった。
 
必死にこらえながら、仕掛けにオキアミをつけて、海に放り込む。
今回は、ビシ釣りという仕掛けで挑む。
 
海の底から1mほど上げて、仕掛けを流す。
 
ダイだけでなく、イサキ、アジ、どんな魚でも歓迎だ。
しばらくして、竿先がコツコツと反応し、魚がヒットした。
 
気持ちが悪くても、この時ばかりは、どんな魚なのか、わくわくだ。
 
糸を巻き上げると、だんだん獲物が見えてきた。
 
赤い魚だ。
初めてみる魚だった。
まるで、カオナシのよう・・・。
サイズは25cmほど。
 
針を外す時、鋭い歯に噛まれて、人差指の上部に紅色の点が浮き出た。
 
魚は放流。
 
 
それから30分、何も釣れない状態が続いた。
 
その間にも小舟は上下に揺れ続けて、とうとう限界が来た。
小舟のへりに掴まり、海を覗き込むような姿勢になった。
海に向かった口からは、声にならない声が漏れ出る。
 
海面にゆらゆら自分の顔が写っている。
泣いてもないのに、目には涙が溢れていた。
 
「こんなところで何やってるんだろう」
 
今、思うとお笑い草でしかないが、
その時は「苦行」だと思った。
 
潮の流れは、陸から沖方面に流れている。
あっという間に、陸地が遠くなっている。
 
舟が流れないようにアンカーは打っておいたが、
少しずつ流されているようだった。
 
ここに来て、まだ1時間ちょっと。
さすがに帰る訳にはいかない。
 
船酔いは慣れの問題で、もうちょっといれば大丈夫だと言い聞かせながら、再び、釣りへ。
 
それから、約1時間で釣れたのはソーダガツオ1匹と、さらに例の赤い魚1匹のみ。
舟釣りとしては、なんとも満足できない釣果だ。
 
ただ、この時点で海面に吠えること3回(笑)
もう、限界の上の限界だった。
 
一刻も早く陸地に戻ろう。
 
そこからが、新たなる試練のはじまりだった。
 
潮の流れが速く、しかも流れに逆行する形で陸地を目指すのだが、なかなか進まない。
その姿は、回し車の中で走り続けるハムスターのよう。
 
真上には容赦なく照りつける、真夏の太陽。
 
休憩しようものなら、また沖に流される(笑)
 
気持ち悪さも悪化の一途を辿り、体はだるく、頭も痛い。
暑さでヘトヘトになりながらも、必死に漕ぎ続けるしかなかった。
 
頭の中ではなぜか猪木のテーマソングがぐるぐる再生されていた。
 
そんなこんなで40分ほどかけて、陸地に着いた時はふらふらだった。
 
こんなに体力を削った釣りは初めてだ。
 
それなのに、自宅に着いた頃にはまたリベンジ釣りをしたい思いがふつふつと。
 
どうやら釣りバカにつける薬はないようだ。
ただ、次は波が穏やかな日に・・・。
 

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帰宅後、調べてみたら赤い魚の正体は、テンス。
これが釣れるところにはマダイもいるようで、もう少し辛抱すればよかったのだろうか!?
 
 
 
 
(イヤ、ムリ!)
 
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